年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ

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昭和23年の群馬コーヒー事件とエイジングコーヒー生豆

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第2次世界大戦中、群馬県の繭関係の倉庫に保管していた旧日本軍関係のコーヒー生豆を、戦後、地元の役所の人たちが、戦災復興資金に充てる目的で売りさばいていたところ、昭和23年(1948年)6月、隠退蔵物処分違反、価格統制令違反、等々で摘発された事件で、当時の新聞は、群馬コーヒー事件という見出しをつけて報道していました。

この事件の影響で当時のコーヒー業界は一時混乱したそうですが、役所の担当者が私腹を肥やしたわけでもなくて、戦災復興資金に充てたわけですから、軽い処分で決着したと「銀座でコーヒー50年/関口一郎、いなほ書房」に記載されています。

 

群馬コーヒー事件で放出されたコーヒー生豆は、偶然、良い管理状態で長年放置されていたコーヒー生豆で、その中には、エイジングコーヒーの最高条件である半透明のべっこう色のスマトラマンデリンがあったので、財政の許す限り多量に購入したと、ランブルのマスター関口一郎さんは書いています。

このコーヒーがいかに優れていたか、具体的に説明すると、ドゥミタッスコーヒー(勿論ノンシュガー)を飲んだあと、カップの内側にコーヒーが薄っすら付着している。そのままソーサーにカップを伏せておき、次の日も次の日も残っている芳香を楽しみ、遂に40日間・・・

銀座でコーヒー50年/関口一郎、いなほ書房」第9話群馬のコーヒー事件より引用

 

「銀座でコーヒー50年/関口一郎、いなほ書房」第8話オールアバウトコーヒーにも、エイジングコーヒーについて記述されています。 

その当時、主なコーヒークロップと区別して輸出していたもので、よく実った良い生豆を熟成倉庫に保管し、温度、湿度の調整をして、生豆を入れた麻袋は棚にせいぜい二段位に重ねて置き、時折ひっくりかえして平均をはかる。

こうして作られた「オルドコーヒー(エイジングコーヒー)」は、味については、グリンコーヒーにあるシャープな刺激がとれ、丸くなり、芳香も一段と良くなる。

熟成の進行状態は、初めグリーン色のものが、白色となり、次にうっすらとセピアに変じ、年数がたつにつれて濃くなって、上質のものは、半透明のべっ甲色になってくる。

(注)「その当時」とは、1920年代のアメリカのことです。

こうして価値あるオールドコーヒーは、高価で取引れているが、悪徳商社が、焙煎機で少し色をつけたものを、オールドコーヒー(エイジングコーヒー)と偽り販売することがあるから、気をつけること。

また、コーヒーは、二度加熱することは絶対にやってはいけない・・・