アメリカで発行されているコーヒー豆焙煎事業者向けの隔月刊雑誌「ローストマガジン」が主催する、『今年のロースター大賞」的なコンテストがあります。
この賞の対象となるコーヒー豆焙煎事業者を、年間コーヒー豆焙煎量45トンくらいを境目として、それ以下ならマイクロロースター、以上ならラージロースターと2つのカテゴリーに分けて、賞を授与していると伝えられています。
アメリカでも、日本同様、大中小様々な焙煎事業者が存在しているのだと思います。
日本のコーヒー業界と違って、アメリカのコーヒー業界は活況を呈しているわけですから、それぞれの焙煎事業者は、それぞれがターゲットとしているお客さんとの取引で、前向きな商売を営んでいるのだと思います。
アメリカのコーヒー業界では、略縛的価格設定に代表される略縛的商売は、日本と違って通用しないみたいです。
それに、大手ロースターと中規模ロースターと小規模なロースターとでは、ターゲットとする客層が異なっているみたいで、商売の仕方にも相当な相違があるみたいです。
他者の顧客を奪う商売ではなくて、需要を作り出す商売が中心になっているのだと思います。
『今年のロースター大賞』の審査ですが、コーヒーの品質を目隠しテストするだけではなくて、コーヒー豆焙煎事業者のマネージメントやマーケティングも審査の対象となっているようです。
ある地域で繁盛しているコーヒー豆自家焙煎店があったとして、ある大手コーヒー企業が、その自家焙煎店の市場を奪ってしまおうと考えて、別会社を作ってコーヒー豆自家焙煎店の市場で略縛的商法を駆使したとしても、その市場を奪うことは理論的に不可能なのだと思います。
でも、大手コーヒー企業は略縛的商法が通用するはずだと考えて、何年も何年も無駄な努力を繰り返せば、その大手コーヒー企業の資産は浪費され続けるわけですから、持続的な繁栄とは無縁の世界へ突き進むことになります。
ですから、そのようなマーケティングと無縁のコーヒー企業には、『今年のロースター大賞』の審査で、最低の点数しか与えられないということになるみたいです。
アメリカのコーヒー業界ですが、数多くのマイクロロースターが存在していて、そのマイクロロースターが、年間数十トン以上のコーヒー豆を焙煎加工するラージロースターへ成長するという形で発展しているのだと思います。
そして、その昔、アメリカのコーヒー市場を支配していた旧来型コーヒー企業は、安い商品を買う事に価値を認めるコーヒー市場を中心ターゲットにしながら、新しい道を模索しているのだと思います。
以上の記事は、2010年12月に、このブログの前身「エカワ珈琲店の出来事」に寄稿した記事の再掲載です。
それから5年が経過した2015年の秋、2010年当時、アメリカのコーヒー業界で一般的だった状況が、ようやくにして、日本にも到達して来たように感じています。
もうすでに、日本のコーヒー市場では、小規模なコーヒー豆自家焙煎店が相手であっても、大手コーヒー企業の力まかせの略縛的商法が通用しない時代になっているのだと思います。
これからの日本のコーヒー業界では、時代の流れに適合したマーケティング戦略を駆使するコーヒー企業や珈琲屋でなければ、生き残れない時代がやって来るのかもしれません。