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20世紀版、エカワ珈琲店の珈琲読本、(第4章)コーヒー豆の生産国、認証、保蔵【後編】

『20世紀版、エカワ珈琲店の珈琲読本、(第4章)コーヒー豆の生産国、認証、保蔵【後編】』では、21世紀に入ってから注目されている、フェアトレード団体、環境保護団体の認証コーヒーや、コーヒー生豆のエイジングについて触れています。

 

【目次】

『【20世紀版】エカワ珈琲店の珈琲読本、(第4章)コーヒー豆の生産国、認証、保蔵』は、1990年代に年老いた珈琲豆焙煎屋が20世紀に出版された珈琲関係書籍を参考書としてコーヒーの学習をしていた頃の学習ノートみたいなものです。

2023年の現在では、相当に時代遅れになっていてる可能性のある記事だと思っています。

 

【2】認証コーヒー、サスティナブルコーヒー

(1)サスティナブルコーヒー

コーヒー豆の生産農家に再生産と生活に必要な報酬を補償して、有機(オーガニック)のコーヒー豆に、それ相当の報奨金を支払い、持続可能な営農という環境下で栽培されているコーヒー豆。

有機無農薬、公正な交易、環境保護などに取り組んでいる団体によって、オーガニックコーヒー、フェアトレードコーヒー、シェードツリーコーヒーなどの認証が与えられています。

整備された環境のもとでコーヒー豆を栽培生産しているので、品質の高いコーヒー豆が産出される確率が高くなっていると思います。

サスティナブルコーヒーはスペシャルティーコーヒーの中でも、さらに持続可能な営農によって栽培されたコーヒーを指す用語として使われているのだと思います。

 

(2)認証コーヒー

社会的に認められた国際機関から認証を受けているコーヒー。

いろいろな認証団体が、それぞれの考え方に基づいて、生産農家のコーヒーに認証ラベルを付与しています。

大きく分けて、「オーガニックコーヒー」、「フェアトレードコーヒー」、「シェードツリーコーヒー」に分類されていて、それぞれ有機無農薬、公正な交易、環境保護などが主な認証理念となっているようです。

 

主な認証団体と考え方は、以下の通りです。

●バードフレンドリー

渡り鳥の生息地保護に取り組んでいる団体。

渡り鳥の保護や、生態系に配慮して生産されるコーヒー豆を認証しています。

 

●フェアトレード

小農家の持続的営農、公正な交易に取り組んでいる団体。

最低購入価格を補償して、小農家の団体からコーヒー豆を購入しています。

 

●レインフォレスト・アライアンス(RA/熱帯雨林同盟)

熱帯雨林の保護、環境問題に取り組んでいる団体。

熱帯雨林の保護、労働環境の充実など、持続開発可能な農法で、RAと協業できる農園のコーヒー豆を認証しています。

 

●有機JASマーク

日本のJAS法に基づいて、有機(オーガニック)食品だと認められた食品に表示されるマーク。

土壌を保全して、化学肥料を使用せずに栽培していることを条件に認証しています。

 

【3】フェアトレードコーヒー

購入者(輸入業者)が生産者と協定を結んで、コーヒー豆の栽培から収穫までの経費と適正な利潤を保証するコーヒー貿易が、コーヒーのフェアトレードだと理解しています。

経費と適正な利潤を保証することで、生産者の生活レベルと生産地の環境を守ることを目的としているのだと思っています。

そして、フェアトレードの精神と商品の普及を図る目的で、フェアトレードのラベル認証が考え出されたのだと思っています。

フェアトレード・ラベル運動ですが、1988年、オランダでマックスハフェラー財団が開始した認証ラベルプログラムが、その始まりだとされています。

認証ラベルプログラムの開始から1年間で、ラベル付きコーヒーの市場シェアが約3%になり、ドイツ・イギリス・アメリカなどに広がって行きました。

フェアトレードの認証コーヒー豆の生産ですが、2004年は2万4222トン、2005年は3万3991トンでした。

2004年の全世界でのコーヒー豆生産量は705万トンで、2005年は668万5千トンですから、全世界で生産されたコーヒー豆のうち、フェアトレードのコーヒー豆の占める割合は、1年間で0.34%から0.51%に増加しています。

数多く実施されているフェアトレードの影響調査では、フェアトレード運動が、農作物の生産者や生産地域に良い影響を与えていることを示しています。

1973年、オランダのフェアトレード団体が、グァテマラの小規模生産者組合より、世界で始めて「フェア」に取引されたコーヒー豆「インディオの連帯コーヒー」を輸入しました。

ヨーロッパフェアトレード協会(1987年設立)などの組織が設立されて後、幾つかのローカルな喫茶店チェーンや大規模な喫茶店チェーンがフェアトレードの取り扱いを開始することで、フェアトレードコーヒーの生産および消費は成長して行きました。

たとえば、2000年の4月、1年間にわたる人権保護団体グローバルエクスチェンジのキャンペーン活動の後、スターバックスがフェアトレードコーヒーをメニューに採用しました。

 

(参考までにですが)

ベルギーで行われた2005年のある調査では、消費者の購買行動が、フェアトレード商品についての多くの人たちの主張との矛盾点を指摘しています。

ヨーロッパの消費者の46%の人たちは、コーヒーのようなフェアトレード商品に対してなら、少々高くても適正十分な代価を支払うことをいとわないと主張しています。

しかし、ベルギーで行われた2005年の調査では、多くの回答者が、フェアトレードコーヒーに27%の奨励金(一般のコーヒーを購入するよりも27%高い金額)を支払うことには否定的な回答をしています。

 

【4】コモディティー(先物商品取引されるコーヒー)

コーヒー生豆は、商品先物取引市場にて、コーヒー会社や投資家、投機筋によって売り買いされています。

アラビカコーヒー豆の先物契約は、ニューヨークマーカンタイル取引所(ニューヨーク商業取引所)にて取引されています。

コーヒー豆は、先物取引価格の変動に著しく影響を受けやすい商品です。

高品質のアラビカ種のコーヒー豆や評価の低いアラビカ種のコーヒー豆は、先物商品取引市場とは別のチャンネルで売り買いされています。

ロブスタ種の先物契約は、昔から、ロンドン国際金融先物取引所のオプション取引所で取引されています。

それに加えて、2007年からは、ニューヨークのインターコンチネンタルエクスチェンジでも取引が開始されました。 

 

【5】エイジングコーヒーとは何だ

エイジングしたコーヒー豆を使ってコーヒーを淹れると、気の抜けた美味しく無いコーヒーが出来上がると思い込んでいる人が多いのかもしれません。

初めて、Aged Coffee(エイジッドコーヒー)という言葉を耳にした時、とげとげしい香味のコーヒー生豆を放置しておいて、その結果、古くなってしまった気の抜けた香味のコーヒーだと考えてしまうかもしれません。

しかし、それは間違っていると思っています。

Aged Coffee(エイジッドコーヒー)を、放置していて古くなった気の抜けた香味のコーヒーだと思い込んで遠ざける必要はありません。

その理由は、とげとげしい香味を、柔らかでデリケートな香味に変化させる方法が、コーヒー生豆のエイジングだからです。

そして、そのための方法が、ほぼ確立されているのだと思います。

Aged Coffee(エイジッドコーヒー)は、意識して何年もの間、専用の倉庫にて保管していたコーヒー生豆です。

時々は、エイジングに失敗することがあるかもしれません。

もちろん、エイジングの出来栄えにもデコボコが生じます。

しかし、何年もの間、専用の倉庫で保管することで、コーヒーのボディー感を増加させて、酸味を減少させます。

コーヒー生豆を、何年間か専用の倉庫で貯蔵熟成することで、そのコーヒー生豆のフレーバープロファイルに劇的な変化が生じるのだと思います。

エイジングによってフレーバーが変化することは、色々なタイプのインドネシア産コーヒー豆で証明されています。

Aged Coffee(エイジッドコーヒー)を作り出すには、長期間の貯蔵・熟成が必要ですから、非常に大きな努力を必要とします。

そして、その大きな努力が、高品質のAged Coffee(エイジッドコーヒー)を作り出すことになります。

コーヒー豆のエイジング工程にて最も注意すべきことは、貯蔵しているコーヒー豆の呼吸なのだと思います。

貯蔵・熟成中のコーヒー豆が、すべて均等に呼吸できる環境が必要です。

そのためには、専用棚で保管しているコーヒー豆保存バッグ(袋)を、定期的にローテーションさせることが必要です。

 

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(エカワ珈琲店が保管しているエイジングコーヒーの写真)

 

【6】コーヒー生豆の規格と保管

コーヒー生産国のコーヒー生豆規格は、最低品質を保証するものです。

品質のバラツキの程度を保証しているわけではありません。

ロットによって、コーヒー生豆の成分組成に違いがある可能性があります。

もし成分組成が異なっていれば、焙煎コーヒー豆の香味にも、当然のこととして影響してきます。

 

コーヒー生豆の定温貯蔵は、常識となっています。

何故なら、コーヒー生豆を常温で保管していて、日光射照を受けたりすると、褐変反応が進行したりして品質が変化する可能性があるからです。

それに、湿度が変化すれば、コーヒー生豆の含有水分量も変化する可能性もあるわけです。

 

【7】コーヒー生豆の保蔵で注意すること

コーヒー生豆の保存には、湿気が大敵です。

防湿設備の整備された倉庫に保存するのが、最適だと思います。

防湿設備が無い場合、繊維の袋から、通気性のあるポリ袋に詰め替えて保存します。

理由は、変なニオイが付着するのを防ぐためです。

 

日本の夏は、高温多湿です。

繊維の袋だと、繊維が湿気を吸い込んで、吸収する水分量が多くなると、その湿気がコーヒー生豆の中に移っていきます。

 

湿気がコーヒー生豆に移ってくると、コーヒー生豆の水分含量が多くなるので、カビの発生や微生物による腐敗ということも有り得ます。

実際には、湿気の吸収だけで、そのような問題が発生するほどの水分含量になることは、ほとんどないと思っています。

 

一番の問題は、繊維のニオイが、湿気と一緒にコーヒー生豆に移ってくることです。

『枯れ草臭』や『カビ臭』など、コーヒー生豆の嫌なニオイは、相当部分、繊維の袋から移動してきたニオイだと考えています。

 

【8】コーヒー生豆の保管と真空パック包装

麻袋(ジュート袋)に60kgから70㎏のコーヒー生豆を詰めて、生産国から消費国に輸出されます。

コーヒー生豆が詰まっている麻袋が水に濡れたり、湿気の多い場所で麻袋に詰めたコーヒー生豆を保管して置いたりすると、コーヒー生豆は水分を吸収する力が強いので、水分と一緒に麻袋のニオイもコーヒー生豆が吸収してしまいます。

ニュークロップのコーヒー生豆を湿気の多い倉庫に半年も保管して置くと、そのような状態が発生することもあるみたいです。

 

麻袋のニオイを吸収したコーヒー生豆を焙煎加工して、その焙煎コーヒー豆を使ってカップコーヒーを作ると、「かび臭くて不快なニオイのするワラのような風味」のカップコーヒーが出来上がります。

この「かび臭くて不快なニオイのするワラのような風味」を、バギー(Baggy)と呼ぶこともあります。

 

普通に倉庫で保管されている麻袋に詰まったコーヒー生豆がバギー状態になることは、まず考えられないわけですが、お客様に最高品質の焙煎コーヒー豆を提供するという目的を完璧に達成するために、麻袋詰めのコーヒー生豆を真空パック包装に詰め替えるという作業をすることもあります。

また、事例は少ないのですが、生産国の農場で真空パック包装して出荷しているコーヒー生豆もあります。