乾燥食品はもちろんのことですが、普通の食品であったとしても、吸湿しやすい性質を持っています。
そして、吸湿が、その食品の悪変や腐敗の原因になるということは、よく聞く話です。
だから、食品を吸湿から守ることが必要になってきます。
一番安全な保存方法は、ビン・カン・合成樹脂容器などの、水蒸気の透過し難い容器に密封して吸湿材を入れておくという方法です。
しかし、乾燥食品の場合、吸湿する力が強いので、相当に吸湿力の大きな吸湿材でなければ実用に耐えることができないと考えられます。
ということで、乾燥食品の保存には湿度の少ない場所が適しているのですが、高温多湿の日本の夏に、その条件をクリアーする場所といえば冷蔵庫か冷凍室ということになるのだと思います。
焙煎したコーヒー豆は、含まれている水分が非常に少なくなっているので、カビの生育による変質の危険性は少ないと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。
しかし、焙煎したコーヒー豆を保存しておくと、その保存中にコーヒー成分の酸化、褐変反応の進行や異臭の生成など、様々な化学的変化が起こっているわけですから、それが香味成分の品質劣化の原因となることも考えられます。
特に、焙煎したコーヒー豆は乾燥食品ですから、吸湿する力が強くなっています。湿度の高い環境で放置しておくと、吸湿によって品質が劣化してしまう可能性が高いと考えています。
それを防ぐためには、水分透過性の少ない包装資材を使って防湿包装する必要があります。または、冷蔵庫や冷凍庫などの乾燥した環境下で保存することを考える必要があると考えます。
その昔、乾燥海苔やお茶の葉などの低水分の乾燥食品は、茶箱のような防湿性に優れた木箱などの容器に入れて保存していました。おそらく、金属製の筒やガラス容器も防湿に有効だと思います。
乾燥食品は吸湿すると、物理的変化が発生して風味が大きく変化して行きます。焙煎したコーヒー豆も低水分の乾燥食品ですから、吸湿すると風味が大きく劣化すると考えられます。
ということで、レギュラーコーヒーと呼ばれている賞味期限の長い焙煎したコーヒー豆は、水分透過性の少ない包材で防湿包装されているはずです。
一方、自家焙煎コーヒー豆の場合です。
一般的に、自家焙煎コーヒー豆の場合は、保存中の吸湿を前提にして賞味期限と焙煎日を表示しています。
鮮度の良い煎りたての自家焙煎コーヒー豆が売り物ですから、3週間ほど熟成させて、それから水分透過性の少ない包材で防湿包装するという販売方法を採用できないわけですから。
その販売方法を採用すれば、場末の小さな自家焙煎コーヒー豆小売専門店が、大手・中堅のコーヒー会社に太刀打ちできなくなってしまいます。