種子を播いてからコーヒーノキが成長して結実するまでに約4年、それ以降、収穫が始まって6年目~10年目くらいが収穫のピークで、15年~20年くらいは一定の収穫が可能だといわれています。
当然のことですが、その間、剪定、整枝、施肥、病害虫防除、除草などの手入れは欠かせません。
この記事は、【20世紀版】エカワ珈琲店の珈琲読本、(第2章)コーヒーの栽培と収穫の後編です。
前編は、下のリンク先ページでご覧になって頂けます。
『【20世紀版】エカワ珈琲店の珈琲読本、(第2章)コーヒーの栽培と収穫』は、1990年代に年老いた珈琲豆焙煎屋が20世紀に出版された珈琲関係書籍を参考書としてコーヒーの学習をしていた頃の学習ノートみたいなものです。
2023年の現在では、相当に時代遅れになっていてる可能性のある記事だと思っています
【6】開花結実
コーヒーの木は、2~3年、順調に生育すると、ジャスミンのように甘くて爽やかな香りを放つ5弁の白い花をつけます。
その花の生命は、2~3日ぐらいです。
アラビカ種は自家受粉ですが、ロブスタ種は他家受粉です。
コーヒーノキの葉は光沢のある濃緑色で、表面はやや波打っていて、長さは10数cmで先端がとがっていてクリの葉に似ています。
5~9弁(普通は5弁)の小さな花をつけ、花の中には淡緑色のおしべ5本が、めしべ1本を囲んでいます。
自家受粉のアラビカ種の花粉は、粘り気があって飛散し難くなっていますが、他家受粉のロブスタ種やリベリカ種などの花粉は、風で飛散しやすいように軽くて乾燥しています。
開花後、しばらくすれば、緑色の実が出てきます。
そして、6~8ヶ月後には、その実は赤く熟します。
収穫期の果実は赤く熟していてさくらんぼに似ているので、「コーヒーチェリー」と呼ばれています。
果実を樹上で放置しておくと、しだいに黒ずんで行きます。
コーヒーの果実は、直径1~1.5センチメートルで、楕円形をしています。
果肉の中に、茶褐色の内果皮(パーチメント)があり、その中に銀皮(シルバースキン)で包まれた種子があります。
コーヒーの果実には、受精によって2個がぺアーになった半円形の種子(フラットビーン/平豆)ができるそうですが、約10%くらいの確率で、枝の先端部で養分や水分が行き渡らず一つしか受精しなかったり、途中で退化したりして丸い小粒な一つだけの種子(ビーペリー/丸豆)になることもあるそうです。
((Wikipedia/coffeeより引用))
果実の構造は、上の写真の ように、一番外側に果皮(外皮)、それにつつまれた甘くて弾力のある果肉(パルプ)、その内側の繊維質の厚い皮がパーチメント、さらに内側のシルバースキン(銀皮、種皮)となっています。
コーヒーの種子は、そのコーヒーの果実の最も中心部に位置しています。
【7】コーヒー果実の収穫
アラビカ種のコーヒーノキは、種をまいてから実が成るまで、3年~5年が必要だと言われています。
コーヒーノキは、葉はクリの葉に似ていて濃緑色で、ジャスミンのような香りを放つ五弁の白い花をたくさん咲かせるそうです。
収穫する直前の熟したコーヒーの果実は、真っ赤で光り輝いていてサクランボに似ているので、コーヒーチェリーと呼ばれているのだと思います。
花が咲いてから、6~8ヶ月ぐらいで、収穫期を向えます。
コーヒーの果実を摘み取る作業ですが、多くの国々では、労働集約型の手作業で行われていて、大変な労働力を必要とする作業なのだそうです。
しかし、ブラジルのように、比較的に平坦で大きな農場では、コーヒー果実の収穫は機械化されているようです。
手作業で、あるいは機械で、そのどちらか一つの方法で、コーヒーの果実は収穫されています。
★ストリップピックト/裸摘み
全ての収穫を、1回で行う収穫方法。
機械で摘む場合と、手作業で摘む場合があるそうですが、どちらにしても、枝に成っている全ての果実を一度に取り除く収穫方法なのだと思います。
★セレクティブピックト/選択摘み
熟した果実だけを、労働者の手作業によって摘み取っていく収穫方法。
全ての木の間を8日~10日でローテーションしながら、成熟のピークにある果実だけを選んで摘んで行く収穫方法。
セレクティブピックト(選択摘み)は、労働集約的でコストが高くつく収穫方法ですから、主として、高品質のアラビカ種のコーヒー豆を収穫するのに使われている収穫方法です。
年に二度、メインとセカンドの収穫期が存在するコロンビアのような国もありますが、ほとんどのコーヒー生産国では、収穫期は年に一度です。
優秀な摘み取り手は、1日に100~200ポンドを収穫するそうで、コーヒー豆に精製すると20~40ポンドとなるそうです。
普通、労働者には、摘み取ったその日に、成果に応じて報酬が支払われていて、その日の収穫は集められて、精製処理工場へと搬送されているそうです。
コーヒーの収穫期は、国によって違います。
ブラジルは5月~8月、コロンビアは3月~6月(メインクロップ)・10月~2月(スモールクロップ)の2度、グアテマラは8月~翌4月、エチオピアは9月~翌3月、インドネシアは年中(年3回)、という具合です。
ニュークロップは、最近収穫されて、コーヒーの精製処理が終了していて、焙煎加工に利用可能なコーヒー生豆。当年度産のコーヒー生豆。
カレントクロップも最近収穫されたコーヒー生豆ですが、カレントクロップ=ニュークロップではなくて、ニュークロップ>カレントクロップなのだと思います。
その前の年に収穫されたコーヒー豆を、パーストクロップと呼んでいます。
パーストクロップよりも以前に収穫されたコーヒー生豆を、オールドクロップと呼んでいるのだと思います。
例えば、2014年に収穫されたコーヒー生豆は、2014年/2015年産のコーヒー生豆として出荷されています。
それ以前に収穫されたコーヒー生豆は、オールドクロップ(old crop)、パーストクロップ(past crop)と呼ばれています。
【8】コーヒー豆の産地別特徴
コーヒー生豆の各産地別の特徴を、エカワ珈琲店が20数年前にまとめていた資料に基づいて、大雑把に書き出しました。
現在(2016年)の感覚とは、少しズレていると思いますが、何かの参考になるかもしれないということで掲載しています。
(1)ブラジル・サントス
適度な苦味と酸味、香りが良い。
(2)コロンビア・スプレモ
まろやかな酸味と円熟したコク、甘い香り。
(3)グァテマラ
上品な酸味、芳醇な風味、甘い香り。
(4)ブルーマウンテン(ジャマイカ)
調和のとれた味。
(5)ハワイコナ(アメリカ)
強い酸味、甘い香り。
(6)マンデリン(インドネシア)
コクと柔らかな苦味、上品な風味。
(7)ジャバロブスター(インドネシア)
強い苦味、独特の香り。
(8)モカ(エチオピア)
まろやかな酸味、芳醇な香りとコク。
(9)キリマンジャロ(タンザニア)
強い酸味と甘い香り、上品な風味。
各産地の全てのコーヒーが、そのような香味だというわけではありません。
当然、農作物ですから、ちょっとした環境の変化で香味が変ります。
また、生産者の思い入れによっても、香味は変わってきます。
何となく、参考になるかもしれない、という程度の内容です。
【9】参考資料、参考図書
参考資料
㈶科学技術教育協会が1988年9月30日に発行した「コーヒーの科学」に掲載されている資料からの引用です。
※新鮮果肉の成分
水分60%、有機物38.12%、無機物1.29%、窒素0.59%、
※果実中灰分の組成
リン酸10.33%、カリウム52.99%、カルシウム3.80%、マグネシウム7.60%、硫酸3.27%、クロール0.82%、
ソーダ+シリカ+酸化鉄+炭酸で21.19%、
参考図書
※生活の科学シリーズ㉒コーヒーの科学
昭和63年9月30日、財団法人科学技術教育協会出版部発行
※珈琲を科学する
著者は伊藤博さん。1997年12月20日、株式会社時事通信社発行
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