2011年のことです。
日本もアメリカもヨーロッパも、経済不況の真っただ中にあって、毎日・毎日、経済に関係する暗いニュースが報じられていました。
当時、その原因は巨大な財政赤字にあるということで、財政赤字の削減が求められたりしていました。
その後、財政赤字削減が成されなくても経済不況から脱出しているわけですから、それは間違いだったようですが。
巷では信用収縮が続いていて、その状態が、今後も何年間か続きそうな雰囲気になっていて、賃金は凍結状態というよりも、減少傾向を示していました。
日本も、海の向こうの国アメリカも、経済情勢は芳しくないと報じられていました。
しかし、そのような経済状況にも関わらず、アメリカのコーヒー産業には元気があったわけです。
思いもかけない出来事がきっかけとなって、幸運にもビジネスに成功するという話が、幾つも聞こえて来ていました。
景気が悪いという話ばかりが聞こえて来る経済情勢にも関わらず、幾つもの小さな珈琲屋さんは、コーヒービジネスを順調に成長させているという話が聞こえて来ていました。
そのような元気な珈琲屋さんに関する話で、当時、最も印象に残ったのはシスターズ・コーヒーカンパニー | Sisters Coffee Company というオレゴン州ポートランドのシスターズ地区に立地している珈琲屋(コーヒー豆自家焙煎店)さんの物語です。
何故、印象に残ったのかというと、シスターズ・コーヒーカンパニー | Sisters Coffee Company は、Joy Durham(ジョイ・ダーラム)さんが1989年に設立したコーヒー豆自家焙煎店だったからです。
年老いた珈琲豆焙煎屋夫婦が2人だけで営んでいるエカワ珈琲店も、コーヒー豆の自家焙煎を開始したのが1989年で、ものすごく親近感を覚えたわけです。
当時(2011年)、シスターズ・コーヒーカンパニーもエカワ珈琲店も、コーヒー豆自家焙煎ビジネスを開始して22年の年月が経過していました。
当時のエカワ珈琲店は、月間平均で200kg程度の自家焙煎コーヒー豆を売っているパパママ経営の自家焙煎コーヒー豆小売店でしたが、シスターズコーヒーカンパニーは、毎月数トンのコーヒー豆を焙煎していて2011年8月には、新しい店をオープンさせる珈琲会社に成長していました。
シスターズ・コーヒー・カンパニーは、創業当初から順調に成長を続けていたわけではありません。
1990年前後、コーヒー豆自家焙煎ビジネスを開始した頃のシスターズコーヒーカンパニーは、月間平均で100kg前後の自家焙煎コーヒー豆を売る小規模なコーヒー豆自家焙煎店でした。その頃の事業規模は、エカワ珈琲店のその頃の事業規模と大きな差は無かったと思います。
その後、日本のエカワ珈琲店と違って、ある程度事業規模を拡大していたようですが、2000年代の半ば頃までは、ごくごく一般的な地方の町の家族営業のコーヒー豆自家焙煎店だったわけです。
シスターズコーヒーカンパニーの成功物語は、2000年代の半ば頃から始まります。創業から、10数年の月日が経過していました。
2005年、Joy Durham(ジョイ・ダーラム)さんは、思い切った冒険をします。
それまでの自家焙煎コーヒー豆販売ビジネスにプラスして、シスターズ地区に小さなコーヒーショップを開店しました。
そのコーヒーショップが繁盛して、3年後の2008年に2つ目のコーヒーショップをオープンさせました。
その後、その3年後の2011年には、3つ目のコーヒーショップをオープンさせて、僅か数年間で、毎月数トンのコーヒー豆を焙煎する珈琲屋さんに成長したわけです。
コーヒーショップの成功が、焙煎コーヒー豆業務卸の業績を順調に成長させるという相乗効果をもたらしたようです。
2000年代半ばから2010年前半の事業規模成長スピードと比べると、その後の10年間は成長スピードが鈍化しています。それでも、毎年毎年、成長は続けていて、2021年の現在、毎月12トンのコーヒ豆を焙煎しているとホームページに記載されています。
1989年に自家焙煎コーヒー豆小売商売を開始したエカワ珈琲店ですが、瞬間風速的に月間500kgのコーヒー豆を焙煎することもありました。2000年前後のことです。
しかし、2002年頃から自家焙煎コーヒー豆販売量の減少が始まって、2010年頃になると毎月200kgくらい、2010年代の中頃以降は毎月100kgくらいの自家焙煎コーヒー豆販売量となってしまっています。
言い訳になるかもしれませんが、エカワ珈琲店の場合、「これなら・・・」となった時期に、必ずアクシデントが発生します。
「そのアクシデントが無かったら・・・」と思うこともあるのですが・・・。やはり、人生には、『運が良い・運が悪い』というものがあると考えることにして、自分で自分を慰めています。
でも、年老いた珈琲豆焙煎屋夫婦は、自分たちを不幸だと感じたことは、今のところありません。
30年間商売を続けてこれて、今も、自家焙煎コーヒー豆小売商売で食べて行けているわけですから。